*フシコベツの精霊
こんにちは。
今日も一日、よく頑張ったね。
もしかしたら、少し疲れているかもしれない。
でも、大丈夫。
僕はここから、疲れを食べちゃう精霊を解き放つよ。
小さな羽がふわふわ舞いながら、肩の荷や、頭のもやもやを少しずつかじっていく。
気づいたら、胸のあたりが少し軽くなって、息がすーっと通る感じになるはず。
少し疲れがほぐれたら、一緒に旅に出かけましょう。
どこに行くかはまだ決めなくていい。
ただ、空の色や風の匂い、足元の小さな発見を感じながら、ゆっくり歩くだけでいいんだ。
あの日、ふたりで小川のほとりを歩いたね。
水面に揺れる光を眺めながら、手をぶらぶらさせて何でもない話を笑い合った。
小石を蹴ったときの水しぶきの冷たさ、風に混じる草の香り、君の笑い声が微かに耳に残るあの瞬間――全部、今でも胸の奥にあるよ。
ふと立ち止まって見上げた空の色、淡いオレンジから紫に変わるグラデーション。
あの時、君と一緒にいるだけで、世界が少し柔らかくなったように感じたんだ。
そんな些細な感覚を、今、そっと思い出してほしい。
疲れた心が、少しでもふわっと軽くなるように。
気が付けば、あなたの心は精霊の光に溶け込んで
遠く離れた僕のところまで届いている。
その光は、僕の胸の奥で優しく揺れ、静かに微笑むように温かさを広げる。
だから、どんなに疲れていても、ひとりじゃないって思えるんだ。